「技術的に不可能だ」という思い込みをひっくり返す
タカギの代名詞でもあり業界初の製品であった「蛇口一体型浄水器」は、どのようにして誕生したのか。すべての始まりは、1998年8月に東京で開かれた展示会でのこと。ある女性客が蛇口と浄水器を眺めながら「これ、ひとつになればいいのにね」と呟きました。それが、当時の髙城寿雄社長が蛇口一体型浄水器の開発を決意した瞬間です。
画期的なアイデアとはいえ、それまで業界内にも存在しないまったく新しい製品。「蛇口の中に収まる浄水器なんて作れるはずがない」と誰もが思う中、開発を託されたのは3人の技術者でした。彼らがはじめに取りかかったのは「小型の浄水カートリッジの開発」。それは当時の世界最小クラスのサイズを目指すもので、蛇口に内蔵するためにはカートリッジの直径を28mm未満にする必要がありました。もちろん前例はなく、当時のタカギにとってはハードルの高い難題でした。
さらにサイズを小さくするだけでなく、浄水性能と流量の両立、性能を長期間維持するための工夫も求められます。すべてを高い水準で満たすバランスを見つけるためにひたすらサンプルを作り続け、その数が30を超えた頃、ようやく新型カートリッジが完成したのです。
その頃、設計担当は別の問題に直面していました。それは「浄水と原水を切り替えるスイッチ」です。スタイリッシュなデザインにするためには、わずか15mm四方のスペースに切替機構をどのように収納するか。解決のヒントになったのは、どこにでもあるノック式のボールペン。弁の代わりに12mmのステンレス製ボールを入れ、それによって水の流れを切り替える。ボールを動かし、固定するのはボールペン同様ノックによって行う。そんなアイデアが閃いたのです。
その後も商品化までには製造技術や品質保証などに関する問題が山積していましたが、それらをひとつずつ乗り越えて1999年に業界初の蛇口一体型浄水器が誕生しました。
